2015年12月07日

第二十八號 Zunow kogaku Japan ZUNOW Cine 16mm 1:1.1 f=1"(25mm)

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ズノー光学のズノーシネ 1インチ(25mm)F1.1(Zunow kogaku Japan ZUNOW Cine 16mm 1:1.1 f=1")を1年半程前に入手した時に、その2年程前の2012年6月に入手したTeikoku Kogaku Japan ZUNOW Cine 1:1.1 f=1"と合わせて、この2本のZUNOW Cine 1:1.1 f=1"については、いずれじっくりブログ記事にするつもりでいた。

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しかしながらZUNOW Cine 1:1.1 f=1"に関しての情報は甚だ乏しく、インターネット検索をしても私が過去にネット上にアップした画像以外には現存するZUNOW Cine 1:1.1 f=1"の画像は見つからなかった。ところが、つい先日、帝国光学モノのZUNOW Cine 1:1.1 f=1"がもう1本現存している情報がネット上に突然現れて驚いた。その画像ではCマウントではなくDマウントのようだったので、私がズノー光学モノのZUNOW Cine 1:1.1 f=1"を入手した時と同じようにC-D変換リングが装着された状態なのだろうと私は判断したけれど、画像での判断なので定かではない。当時16ミリ用に設計されたこのレンズは、C-D変換リングを装着して8ミリ用にも販売されたのだと推測する。

*追記:その後ネットオークションに数本出品され、2016年11月7日現在までに私が所有している2本以外に4本(帝国光学モノ3本、ズノー光学モノ1本)が現存している事を確認している。

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C-D変換リングを装着したズノー光学モノと、装着していない帝国光学モノの2本のZUNOW Cine 1:1.1 f=1"

以下の2つのウェブページには、現在ネット上で見る事ができるZUNOW Cine 1:1.1 f=1"に関する興味深い画像が掲載されている。(今後見つけたら追加する予定)

http://blogs.yahoo.co.jp/lloyd356/60546409.html

http://zunowcollector.com/cine.html


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私の所有する2本のCマウントZUNOW 1.1/1"のシリアルナンバーを見てみると、帝国光学の方が#6116でズノー光学の方が#6298と182しか離れていなくて、この2本の間には181本のレンズが存在する可能性がある。1930年に設立された帝国光学研究所が1954年にベンチャービジネスから脱皮して帝国光学工業株式会社になり、1956年にズノー光学工業に商号変更しているので、この2本のZUNOW 1.1/1"はそれぞれ商号変更の前と後のレンズになると思うけれど、ZUNOW 50mm F1.1のシリアルナンバーをネット画像から拾ってみると、この#6116と#6298の間のシリアルナンバーが刻まれたZUNOW 50mm F1.1も存在するようだし、Teikoku kogakuからZunow Opt.へ刻印が変更されたのも5000番台の途中のようで、ズノーのシリアルナンバー事情は私の中では未だ混沌としている。

ネットから拾った情報では、写真工業の1956年6月号の『ニュースフラッシュ』というコンテンツに、ズノー35ミリF1.7、ズノーシネ38ミリF1.1、ズノーシネ25ミリF1.1が取り上げられているらしい(雑誌の現物を手にしたわけでは無いので定かではないが)ので、ズノーシネ 1インチ(25mm)F1.1の発売は1956年6月前後のようだ。

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3年半ほど前にTeikoku Kogaku ZUNOW Cine 1:1.1 f=1"を初めて手にした時に、真っ先に後玉を確認した。あり得ないとは思っていたけど、まさかピンポン玉ではあるまいな、と、恐る恐る、装着されていた16ミリシネカメラからレンズを外したけれど、現れたのはありきたりの凸面の後玉だった。

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帝国光学とズノー光学の2本のズノー1inch F1.1を見比べると、前玉も後玉も径と曲率は同じように見える。ズノー50mm F1.1のレンズ構成図の後玉の形状を見ると、タイプ1は球面が大きく張り出した所謂「ピンポン玉」で、タイプ2は凹面になっているので、この2本のズノー1inch F1.1は、ズノー50mm F1.1のどちらのタイプとも異なるレンズ構成だと分かる。

であるならば、入手以来一度も分解していなかったズノー1inch F1.1の光学系をこの際分解して、どんなレンズ構成になっているのか確かめてみる事にも、その採寸がかなりラフで正確な構成図が描けなかったとしても、多少意義があるのかなという思いと、単純な好奇心とで、気付いたら分解を始めていた。

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Zunow 1.1/1"を分解してみると、前群が2群、絞りを挟んで後群が2群からなる構成だった。

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作業は、まずは後群から採寸(マイクロメータではなく使い慣れたノギスで0.1mm単位のラフな採寸)しながら詳しく見ていった。

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絞り羽根の後に位置する第3群は3枚張り合わせに見える。

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なだらかな凹面が絞り羽根に面している。

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後群はこのように配置されている。第4群はシンプルな両凸レンズ。画像のバルサム接合箇所を拡大しても確認はできないが第3群の張り合わせは、もしかしたら4枚張り合わせかもしれない。

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前群は、レンズの銘板も兼ねた前枠部品に嵌っている第1群、この写真には写っていない金属製の枠を介して、張り合わせで厚みのある第2群からなる。

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前群はこのように配置されている。第1群は1枚、第2群は3枚張り合わせに見える。第2群の外周(指で掴んでいる部分)は金属製の枠で、これ以上分解できない。

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前玉(第1群)は平凸のようで、裏面はほんの少し凸のようにも見えるが、おそらく平面。

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恐る恐るノギスで採寸して、無事元に戻せたところ。

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採寸したレンズエレメントや鏡胴各部の寸法をもとに手描き(仕上げはフリーハンドで)のレンズ構成図らしきものを起こしたけど、第2群と第3群の張り合わせ部分のレンズ形状は不明のままだ。

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熱を加えてバルサム接合部を剥がせばレンズ形状が明らかになるかもしれないけれど、まさかこのレンズでそんな大胆な事をする勇気はないし、シークレット部分のレンズ構成を推測し割出せるような光学設計の知識は全く無いので、とりあえず50mm1.1の二つのレンズ構成図に描かれているラインを(レベルの低い適当さで)当てはめてみた。手描きのレンズ構成図をスキャナーでMacに読み込んでドローイングアプリで水色のラインを付け足した。

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4群8枚だとしたらこんな感じかも、の図。

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4群9枚だとしたらこんな感じかも、の図。

至極大雑把なレンズ構成図の再現となったけれど、書き起こした図とズノー50mm F1.1のレンズ構成図を重ね合わせて見比べると、後期型(タイプ2)の50mm F1.1にかなり近いように見える。(50mm F1.1は後玉がメカニカスなのに対して25mm(1")F1.1は両凸レンズとなっているけど)

ZUNOW Cine 1:1.1 f=1"の小さな鏡胴には、前群にゾナータイプの3枚張り合わせ、後群にも3枚もしくは4枚張り合わせを用いた、贅沢な光学系がぎっしり詰まっていた。その光学系は、紛れもなくZUNOW 1:1.1 f=50mmの直系の遺伝子を持ったレンズ構成のように私には見えたが、欲目だろうか。


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Zunow kogaku ZUNOW Cine 1:1.1 f=1" + Panasonic GM5(アスペクト比3:2、絞りF8)

ZUNOW Cine 1:1.1 f=1"のイメージサークルは、16ミリシネ用の標準レンズ(25mm前後)としては比較的大きな部類に属す。Kinoptik Apochromat 2/25やAngenieux 1.4/25ほどは大きくないけれど、マイクロフォーサーズのアスペクト比3:2では絞り込んでもケラレが無く撮影できる。(4:3で使った場合は、絞ると四隅にほんの僅かなケラレが現れる。)

F8まで絞っても周辺解像は甘いので、本来の意味でのイメージサークルは、マイクロフォーサーズ3:2もカバーしていないと言えるかもしれないけれど、F11そしてさらにF16と絞ると四隅までほぼ解像して、周辺減光も完全に解消するのはちょっと嬉しい。

全ての絞り値(F1.1〜F16)でのテスト撮影の画像はこちら→ Zunow cine 1inch F1.1 & m4/3



以下、Zunow kogaku ZUNOW Cine 1:1.1 f=1" + Panasonic GM5(全て絞り開放)

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「其の二」
につづく。

ラベル:シネレンズ
posted by MACH0.004 at 00:00| Zunow/Teikoku Kogaku | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする